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地下鉄のザジ - レーモン・クノー

「文体練習」で有名なクノーのこれまた代表作。
地下鉄のザジ (中公文庫)
オウムの「緑」の口癖である『喋れ、喋れ、それだけ取り柄さ』という言葉を待つまでもなく、印象としては「これって落語みたいだなあ」といったもの。フランス文学だってのに、読んでいるそのときの気分は紛れもなく落語のそれなのだ。

急に始まるもったいぶった言い回しや、「マルスリーヌはおしとやかに」という決まり文句、主人公ザジを軸として目まぐるしく立ち位置を変える登場人物たち、ところどころにしれっと挿入されるメタな語りなどなど、小気味よい言葉遊びがちりばめられていて、いちいちニヤニヤしながら読み進められる。
訳がうまいせいもあるのか、そういったことばに対する思い入れみたいなものがひしひしと感じられて嬉しくなってしまう。日頃からおもしろおかしくことばというものを観察しあるいは追求しているような人には、まず間違いなく、うずうずするようなワクワク感*1を感じていただけると保証したい。したい。


筋が通っているんだかいないんだか、破滅的でそして愉快に発展し、ついにはオチまでしっかりとつけてくれるこのストーリーは、一筋縄ではいかないけれど妙な爽快感を残してくれる。こういう二つの面できっちり面白いものを見せつけてくれたおかげで、とてもいいかんじの読書をしている気分になりました。


ちなみに、かわいい挿絵もポイント高いですよ!

*1:なんだそれ