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勝手に逃げてくなよ夏、2008

日常

つくつく法師が「おーしつくつく」と繰り返し鳴いたその後の「うぃょぉーしうぃょぉーし」「じじじじじ・・・」という部分にいちいちひどく居たたまれない気持ちになる。じじじじじの声は夏の空気が抜けていく音そのものなんじゃないだろうか。


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ねえ、なっちゃん。なっちゃんはさ、今年もさ、僕に何のことわりもなくふっと逃げていっちゃうわけ?どこかへ。
いいよ、いいんだよ、なっちゃん。僕だってなっちゃんにはすごくお世話になってるから。病弱でいっしょに遊びに行くこともかなわなかったあの子の浴衣姿を見ることができたのは、なっちゃんおかげ。みんなで花火で騒いだあとに、いつもつんつんしてたあの子とふたりでれでれ話すことができたのだって、なっちゃんのおかげ。

でもなっちゃんは、もうすこしってところでいつもいなくなっちゃう。この空気がもうすこしだけ続けばな、なんて思うころには、僕がいくら呼んだって、なしのつぶてだよ。ねえなっちゃん、1年もすれば寂しくなって戻ってきちゃうくせに。僕がほかの女の子にばっかりうつつを抜かしてるからやきもち焼いてるんでしょ?ほら、台風なんて呼んじゃって。かわいいんだから。そんなところも好きだよ、なっちゃん。



・・・・・・ねえ、なっちゃん。これでもね、ほんとうは僕、なっちゃんひとすじなんだ。

だから、ずっとここにいてよ、なっちゃん。