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自転車で帰省した話(6日目)

自転車脳の恐怖

※今回もほとんど自転車に乗りません。


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10月21日夜。

伊勢市駅でずぶ濡れになりなにもかもが萎えてしまい、もうなんでもいいからちゃんとしたところに泊まってすっかり休もうと考えた。しかし当然のことながら宿泊の手配などしているわけもなく、とりあえず適当にインターネットで検索し適当に電話をかけることにする。どうやら23日いっぱい雨が降りそうだという予報だったのもあり、まあいいや、明日明後日は伊勢にいようと決める。金がかかるけどもう知らん……もうなんでもええ……疲れた……一番安そうなところ……一番安そうなところでしかも駅から近いところ……どっかあんだろ……。……とかなんとか言いつつも、特に苦もなく見つかった。一件目に電話したところがいきなり大丈夫そうだったのでそこに決めた。正直もうなんでもええねん。さっさと行こうってんで着いてフロントへ。フロントっていうかこれなんだろ、病院の窓口みたいやね。

「あ、どうも、さっき電話した者です」「ああどうもどうも」って出てきたのがそこらへんの駄菓子屋に居そうなオバちゃんで微妙に驚いたがそれはいいとして、そこからいきなりオバちゃん怒涛の展開がはじまる。「伊勢ははじめてですか」「あー、そうなんですよ」「じゃあお参りの仕方とかがあってですね……」外宮→内宮の順番で参らなきゃいけないこととか、恥ずかしながら知りませんでしたし、別宮や摂者末社まで含めて縁起やら祭られてる神様がどんな人(人じゃねえな)なのかってことやらを懇切丁寧に教えてくれた。正直濡れてて寒いからはやく部屋に行って風呂に入りたいなという気持ちがあったことは否定しない、否定しないが!否定しませんがそれはそれ、実際知らないことばかりですしなるほどなるほどとありがたくお話を聞いていたのです。そこでいきなり「半分の月がのぼる空って知ってます?それでこられる人ようけおるんですよ」とか言いだすオバさん。……えっ!ってなったわ。なった。びっくりした。前回言い忘れたんですけれども、正直言ってそのつもりでも来てたんですよ。知らない方のために説明すると、そういう伊勢を主な舞台としたラノベがあるのですよ。アニメはもちろん、なんか実写ドラマや映画にもなったらしい。つまり僕は「聖地巡礼」するつもりでも来ていたのですが、まさかホテルのオバさんからそんな話を聞くとは思わなかった。「ああ、はい、それもあって……」と正直に答えると、これまたイキイキとしだして「橋本先生(※作者の方)もここ(そのときオバさんと僕のいた、フロント横の喫茶店みたいなとこ)何度か来たことあって、あ、あそこに写真も」「うわっ、ホンマですね……」「それで来られたんなら資料とかたくさんありますよ」とか言いながら文庫本を一通り持って来たりアニメの原画のコピーが入ったよなファイル持ってきたりしてくれた。そして聖地巡礼に来た人との交流について語ってくれるオバちゃん。砲台山(第一巻の大事なシーンで出てくる)の塔みたいなんの下に寝泊まりして周りの草を刈った人の話とか、埼玉からママチャリでやってきた高校生が置いてってくれた自転車の話とか、聖地巡礼のために調べ上げた資料をそのまま忘れてった人のそのファイルとか盛り沢山であった。「ファンの人ようけ来られるんですけどみんな若い男の人でね。女の人は二人だけしか見たことないです、九州のほうからアニメ勉強するんやってお母さんと二人で来た子と、男の人と一緒に来た彼女さんと。橋本先生は若い男の人に訴えかけるのすごく上手なんでしょうね」等々仰ってらした。ここだけなのかそれとも伊勢ぜんたいでそうなのかは分からんかったけれども、たいそう愛されているようでした。伊勢神宮の話よりたくさん話してくれたような気がする。

そんなこんなでとてもありがたい気分に浸りつつ部屋へ行き風呂に入り寝る。


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10月22日。

10時くらいに起床。とりあえず3日目以来洗濯していなかった服を洗わなければならない。前の日に濡れたまんまだった靴のまま行くわけにもいかんしなと思っていたところ、スリッパを貸してもらえた上になんか靴乾燥機みたいなのまで出していただいた。ありがたいことです。靴を乾かしつつ近所のコインラーンドリーへ。……いつも思うんですけどコインランドリーの乾燥機ってどれくらい時間かけたらいいのか分からんから困りませんか。そうでもないですか。ずっと本など読みながら時間を潰して、帰ってくるが、まだ靴が乾いていないようだったのでしばらく部屋でぼーっとしたりしてた。

昼も過ぎたのでそろそろ、と出かけてみることに。雨と聞いていたが実際は曇りで、拍子抜けながらもありがたい限りであった。この日は二見浦方面へ行くことにする。自転車に乗るのはもうずっと前から飽きていたので電車で向かうことにする。というか、昨日来た道を戻る形になるのがなんとなく嫌だったっていう、そういうのもあったのかもしれない。JR参宮線に乗り二駅。二見浦に着く。

二見浦になにがあるかといえば夫婦岩である。駅から夫婦岩までの道の途中に赤福があったので、おおさすが伊勢!こんなところにも赤福が!とテンションが上がりつつも赤福ではなくぜんざいを食った。赤福は明日にとっておくんだ、というより、自分……ぜんざいが好きだから……。でもって、しばらく歩くと海岸に出て、おお海だ!とテンションが上がる。赤福のときもそうだったけれど小学生みたいなテンションの上がりかただと思う。まあいいや。そうやって夫婦岩に参る。そしてすぐそばの売店でサザエの壺焼きを食う。さて、食ったはいいけれど、それだけで帰るのもなんであるから、二見シーパラダイスに入ってみることにした。イルカとキャッチボールをする子供たりやセイウチのお散歩ショーを眺めたりした。一人でも若干楽しいのが逆に癪に触りつつ1時間くらいはいたと思う。まだまだこれで帰るのもなんだな、としつこく食い下がる。とりあえず二見浦駅のほうへ歩いていくと、貝を焼いて食える店があったので貝を焼いて食った。ビールを飲んだ。満足した。

やっぱり食であるな、食は大事でありますな、と考えながら電車で伊勢市駅に戻る。まだ日も暮れていないのでどうしよっかなーってんで、ホテルへ自転車を取りに帰り、外宮は明日にとっておくとして、とりあえず月夜見宮に参り、商店街をボケーッと見てまわる。そうしてすっかり夜になったので、ホテルの近くのバーみたいなところでさらにビールを3杯くらい飲んでその日は終了いたしました。バーのマスターおよびお客さんが自転車に詳しかったりして自転車の話やらなんやらができたのが楽しかった。そんな感じの一日でした。


長くなってきたので今日はこのへんで。次回は伊勢神宮参拝。