Speak Like A Child - Herbie Hancock

いやそれはレビュー違いだろうというのは置いといて、HDD中の音楽ファイルをランダム再生して、最初にかかったその曲の入ったアルバムを評してみようという企画。

Speak Like a Child

第一回はハンコックのこれ。何はともあれジャケットがロマンチックで、内容もそのジャケの雰囲気どおりだと言ってしまえばそれで本当に終わっちゃうような一枚。1968年発売といえばマイルスのクインテットでIn The Skyを吹き込んでいた頃で、こちらではもうそろそろESPからNefertitiまでのあの流れからまた新たな方向を模索し始めていた頃のはず。
なのだが。
ここで垣間見ることが出来るのは、ほどよく抑制の利いた、3管編成によるいかにも新主流派(便利な言葉だ!)といった内容。ちょっと不穏なテーマと不穏なテンションに彩られた曲の合間には、耳あたりのよい曲(もちろんそれだけに終わらないのは、さすが、なのだけれど)もちらほら。全体としては結局、はじめに述べたような当たり障りのない感じになってしまうのだけれど、それがこの盤の最大の魅力でもある。同時期の彼のほかの参加作と比べても、いちばん角の取れた内容に思える。
というのがやはり、このアルトフルート、バストロンボーン、フリューゲルホルンというなかなか他では見られない組合せの3管編成によるところが大きいのかもしれない。メインは完全にピアノトリオなんだけれど、効果的に散りばめられたホーンアレンジがなんだかとてもいい味を出しているのだ。表題曲などを聴くとほんとうにそれがよく分かる。

Speak Like A Childなどとはよく銘打ったもんだとこれを聴きながら、そして書きながら改めて思った。