The Survivor's Suite - Keith Jarret

残氓
キースのアメリカン・カルテットからの1枚.アメリカン・カルテットといえばなぜか「生と死の幻想」ばかりが有名で,この「残氓」があまり取り上げられないってことが僕には不思議でならないのです.「残氓」における沈痛ともいえる重苦しさとそこからの解放ってのをいちど味わってしまえば,もう「幻想」では満足できなくなってしまうはずですから.(ええ,言い切ってしまいますとも!)


AEoCやディジョネットの同時期のECM作品と比べてみれば,そのいずれもが「アフリカン」的なものを目指していながら,このアメリカン・カルテットにおいてはあくまでそれがキース・ジャレット的な美学の範疇で推し進められたんだということを再確認できるように思います.つまり,ある意味では,キースらしさを最も感じられる一枚だと言ってもよいはず.

どこまでいっても過剰な叙情を押さえきれない人なんだろうな,などと勝手極まりない想像をしてしまう.このリリシズムこそがキースがキースたり得る所以だし,同時に限界でもあるのではないでしょうか.


つまり何が言いたいかというと,さっきのオナニーの話は忘れてくださいということです.