虚根たち

死にたくない、てのはわりかし沢山のひとが考えることだと思うのですが、当然その理由は様々であります。最低限文化的な生活を営むことの幸福を享受しているわたくしといたしましては、その理由というものがなかなかに贅沢なものでありまして。怒らないで聞いていただきたいんですが、私にとってはそれが、「死んじゃったら人間による科学の行く末を途中までしか見届けられないジャン!」ってことなんですよ。*1

べつにわたくし、宇宙の熱的死をどうにかして目撃したいだとかそういう身の丈に合わない贅沢を言ってるわけじゃないんですよ。人間がこの宇宙からいなくなったらもう興味ないですから。ただとりあえずそのちょっと前まではいさせてもらいたいな、って考えてるだけなんですから。*2

いやたぶんその、どうせすべて解明なんてできないんでしょうけれどもね*3、その夢をずっと追わせてくださいって話なんですよ。いや俺がやるんじゃない、誰か他の偉い人がやってくれればいいなっていうだけの消極的な話で、僕はその辺りのことを勉強できればいいや!ってくらいのもんなんですけれどもね。*4とにかく、「ゲェーッ!こんなに驚くべきモノが人間の頭の中に生まれることができたのかァーッ!」と感じ法悦に浸りたいんだよ!俺は!

*1:科学でなくたって文学でも音楽でも芸術でも都市でもなんでもいいっちゃいいのですが、それでもやっぱり科学じゃないかと常々思っているのは、これが人間がやることのなかでいちばん先人たちからの積み重ねがたいせつな分野だと考えてるからなんです。

*2:最初にふっかけて値段をつり上げる論法

*3:数学とかとうの昔に解明どうこうの話じゃなくなってる

*4:だってニュートンあたりからこのかたの特に物理学あたりの進歩ってものすごいじゃないですか、なんかこう、ぶわぁーっ!て感じじゃないですか、イメージ的に。200年かそこらで古典物理学が完成しちゃって今やプランク定数から宇宙ヤバイってなるくらいの話までが広がるんだからどうかしてる。お前ら宇宙のこともっと解明しろ。俺のために解明しろ。いや物理でなくてもいいんですよ純粋数学が応用数学になっていく様とかももっと見ていたいじゃないですか。あんときグロタンディークが言ってたことが生命のどうこうを解明するのに役に立ちました万歳!とか。