コレラの時代の愛 - ガブリエル・ガルシア=マルケス

最後まできちっと「コレラの時代の」愛であったことには感心させられましたがそれはともかく。

コレラの時代の愛
自分が老いることに対するイメージがいまいち湧かなくて、そのためか軽薄でネガティブな印象ばかりが自分の中にはあったのだと今更ながらに気づかされた。肉体的な衰えや凝り固まっていく思考に対する恐れというか。


僕はたいして長い間生きているわけでもないから、成長の中でない、老いの中での*1愛ってのがどんなものなのか共感を伴って理解することはできない・・・はずだったんだけど、なんだ、意外にそうでもない。

20歳になる前から70過ぎるまでの男女の2通りの愛の形が少しずつ積み重ねられていくうちに、恋愛というものの業の深さってのは想像以上だったんですね、なんて気になってくる。そりゃあそうだ。ストーカー男の数え切れない交際相手とのセックスが丹念に描写されていたり、夫婦の日常生活の細部が空気感まで含め細密に表現されているのだから、納得させられざるを得ない。


これだけの人生が日本語にして500ページという中に愛という形をとって要約されているのだからやはり見事と言うべきなんだろう。愛という形で要約されうる人生を創造したことに感嘆すべきなんだろう。そんな読書を通して、「老い」に対する印象がはっきり変わった、ような、気が、する。

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「おじいちゃんに赤裸々な人生経験を語られている」感がすごく強くて、ためになるなあ、みたいに素直に受け取ってしまいつつもすごく楽しめるんだが、感想を書くのがなんだかひどく難しい。ここ2,3日ずっと考えてたんだが、とりあえずここまでにしていっぺん天日干ししてみます。*2これだけだとあんまし魅力的な小説に見えなくて悔しい*3

*1:おおざっぱに言って、人間ってのは成長する時期と老いてゆく時期の二つに分けることができるのだと思う

*2:誰かたすけてください

*3:ので後で加筆修正する!