自転車で帰省した話(9日目)

10月24日夜。

とりあえず京都に着いたはいいが、今日はけっこう走ったしまずは思いきり風呂に入りてえもんだと銭湯を探す。知ってる銭湯となると百万遍のほうまで行かなきゃいけなくて、それはそれでめんどうだなと思いインターネットに頼ってみるとどうやらすぐ近くにあるらしい。入る。っていうか年々銭湯の入浴料が上がっているような気がする。牛乳を飲む。次はコインランドリーである。やっぱりインターネットで探す。最寄りのって聖護院のほうまで行かなきゃならないのか案外ないものだなと思いながら湯上がりで少々寒いなかを走り、洗濯をはじめる。30分ほど暇だということで、御池通りを走り抜け(株)はてなへ急ぎ、セブンイレブンの前で一瞬手を合わせ「いつもお世話になっております」と念じたあとまた急いでコインランドリーへ戻る。なにごともなかったかのように乾燥。

ようやく一息ついて21時頃。京都にいたころ深夜営業してるってんでよく一人で本を読むのに利用していたおしゃれカフェへ行ってみることに。内装もそれほど変わりなく(ただ、27時まで営業だったのが今は24時までになっていた)いつも陣どっていた席に座り川端通りを眺めながらあああの頃はここでユリシーズを読んでおったと京都に捨ててきたセンチメンタルをしっかり拾いながらやっぱり本を読んだ。ちなみに店員さんとはとくに話したことがなく、こちらとしては何度も見たことのある店員さんだったけれどあちらはたぶん認識してないだろうなあと自業自得の侘しさも感じた。いや、ガンガン話しかけられても困るからいいんだけどさ!!

でもって宿泊のために心当たりのあるネカフェに向かう。途中で三条木屋町のラーメン屋(臭い)で替え玉二つも頼んだりしつつ宿泊。

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10月25日。

某氏と昼飯を食う約束をしていたが、それまでの時間は暇だということで出町柳〜一乗寺あたりのエリアを自転車で回って暇を潰した。もう感傷はたくさんだと思った。というか、もはやそういう目でしか街を見られない自分が悲しかった。まあいい。昼飯を食い、ひたすらインターネットの話をしまくって13時。インターネットの話をしているとついつい時間を忘れてしまう。他のことでは時間を忘れることなんて僕にはできないんだ!!

そんなこんなでこの日の目的地たる梅田へ向けて出発。短かいとお思いかもしれません。いいんです、この日は昼下がりの陽気のなか川沿いをのんびりと下る計画だったんです。梅田ぶらぶらしたかったしさ!でまあ鴨川を下り、七条から上鳥羽のあたりまでは河原に道があったりなかったりでふつうに地道を走ったのだけれど、桂川との合流地点から先はしばらくサイクリングロードが整備されているので(風が強いことを除けば)かなり走りやすかった。まだ出発してそれほど走っていないこともあり、膝の痛みを騙すこともできた。へえこのあたりってこういう感じのところなのかと周りを見渡す余裕もあった。そう、ここまではよかった。

でもって大山崎というか八幡というか、つまり桂川木津川宇治川が合流しさあここからが狭義の淀川だって地点からが問題である。サイクリングロード自体はそれこそ木津川沿いに木津のほうまで行くのだけれど、目的地は梅田であるからして当然そちらには行かない。楠葉のあたりからはまた河原沿いに気楽な道がありそうなのでそこを行きたいのだが、現在地とその河原の道とを繋ぐ府道13号が狭いわりに交通量が多くなんとなく気後れしてしまいちょっとだけ苦労する。府道沿いの脇道みたいなところをちょぼちょぼ進み、再度の合流地点でどうしようと思ったら、そこから河原の道に下りることができて一安心であった。でっかい遮断機みたいのが立ちはだかっていたため最初は入れないんかいと思っていたのだけれど、どうやらそれは自動車の侵入を止めるためのものであって自転車なら開いて入ってよいようだった(工事のおっさんが教えてくれた。ありがとうございます)。

そこからしばらくはゴルフ場と淀川のあいだのジョギングコースみたいなところを走る。先ほどのサイクリングロードと同じくわりと快適……なはずだったのだけれど。恐しいことである、膝の痛みが尋常でなくなってきた。伊勢-京都の長距離をそこそこ我慢しつつ走り切ることができたのだから今日の平坦な50kmごときなんでもないだろうと思っていたのにその結果がこれ。またしても楽観がやり場のない怒りに変わる。せっかく気持ちのいい道だというのに脂汗を流しながら、休み休み走る。16時前くらいにようやく枚方という、あまりといえばあまりなペース。相変わらず毒突きながら長めの休憩をとる。

ここらあたりからいわゆる淀川河川公園。部活動に勤しむ中高生や犬と遊ぶおっさんたちを横目にもはや死んだ目をしながら走った。たいへん長い距離に感じた(実際かなり広い公園ではあるけど)。ああきっと普段走るのには気持ちのいい道なんだろうな僕だって家族をつくったら休みの日にはきっとこんなところで家族でわいわい遊んでやるんだでもそんなものは無理無理と悔しくなった。もはやルサンチマンなのか膝の痛みへの呪いなのかも分からなかった。それ以外に何も考えられなかった。てな感じで日が暮れそうなころになってようやく大阪市北区に入る。17時くらい。阪急梅田の裏あたりに駐輪所を見つけて停めて17時半。爽快な道に似つかわしくない拷問のような4時間でありました。

梅田駅の電波の通じないマクドで時間を潰し、酒を飲み(お忙しいなかありがとうございました)、ネカフェでアニメを見て就寝。次回は姫路まで。