2023-04-21

ローカルで書いてた日記から抜粋・再構成してお送りします。


パズルやクイズ(ジグソーパズルじゃなくて、ゼルダみたいな謎解きとか論理パズルだとか、あるいはもしかしたらミステリもそうなのかもしれない)が昔っから苦手。言ってしまえば「解けない」ことのストレスが大きいっていうすげえ器の小さい話ではあるんだけどそれは置いといて、このときもちろん「じゃあ楽しんでる人はどこが楽しいんだろ」となるわけだ。そして、それっておそらく解けたときのうれしさ(だけ)ではないはずよね。その過程が楽しいはずなのだ。でもだからなんなんだよっつうか、なんだってそういうもんであって、自分は自分で過程が楽しいものがほかにあるということでいいんだけど、だったらなんでいまさらこんなみんな知ってる話書こうと思ったんだっけな。忘れちゃったな。


ジェフリー・フォード「創造」を誤読する。 - ななめのための。 を読んで、気になってちょっとググってたら、なんとWebで読めるし手頃な長さじゃん!ってなったのでがんばって読んだ。

Creation - Fantasy Magazine

おもしろくてよかった(『言葉人形』も買ったぜ)。ななめちゃんさんの「誤読」にぜんぶ同意するわけじゃないけれど、それでも父と語り手の両方が父(神)であり子(被造物)であるみたいなのはたしかにあって、自分はなんかそういうの好きなんだよな。


ちょっと前に新しいキーボード Keychron Q11 QMK Custom Mechanical Keyboard を買って乗り換えてみて、最近ようやく慣れてきた感じがある。そもそもここ4年半ほどはCorne Cherryをメインで使っていて(ちなみに現在のものは2代目である)まったく不満はなくそれこそエンドゲームだと思っていた(あえていえばちょっと軽すぎるかなというくらい)のだけど、ちょっと気分を変えてみたくて。

印象としては Keychron Q11というキーボードを買ってみたよ! - 自作キーボード温泉街の歩き方 にあるのとだいたい同じで、そこまですごく良いかっていうとそうでもない気はしている。やっぱりキーが多すぎるし、そのわりに親指ですぐに打てるのはスペースキーしかないし、なにより(とくに分離型だからというのはあろうが)ロウスタッガードは不必要に指に負担がかかりがちだと思う。結局Corneとほぼ同じ配列にして1ほとんどホームポジションのキーしか使っていない。あとなんだっけな、VIAで配列の変更はできるんだけど、IGNORE_MOD_TAP_INTERRUPTとかを設定するにはけっきょくQMK Firmwareを直接扱わなきゃいけないのが面倒だったことくらいか(久々にQMK触ったけどなんかすごい便利になっててびびった)。

とかなんとか文句ばかりだけど、とはいえ持ち歩くわけではないためキーが多くて困るってほどのもんではなく、数字入力にレイヤ切り替えが不要だったり片手でカーソルキーが押せたりするのはそれはそれで悪くないことなので、うまい使い方を見つけていければという感じです。


最近読んでたもののなかだと、ネガティヴ・ケイパビリティで生きる » さくら舎|千鳥ヶ淵の新しい出版社 について思ったことを書いておきたい。

内容を短くまとめようとすると、言ってしまえば「優等生的」な話になってしまう(そもそも「ネガティヴ・ケイパビリティ」って言葉じたいそういう手触りのある語だし、その意味では想像どおりな面はある)し、しかも/だかといって強い結論があるわけでもない(ネガティブ・ケイパビリティの本だから当然だ!)。そんな本ではある。あるんだけど、きっと大事なのはそこじゃなくて、それに付随していろいろ迷いがあるんだよ、そんな「優等生的」なこと言ってもなかなかできんよね、みたいなのも同時にあることがこうして見えるのがポイントなんだろうな。内輪で話し合っているだけじゃんというのはもちろん認めたうえで、とはいえそういう場ではみんな迷ってるんですよというのは、実はあんがい見えないものだったりするというか。そして、それがときには楽しいんですよというのも伝わってくる。

だからこう、役に立つからおすすめですよ! みたいに言うような本じゃないんだけど、じんわりいいところはある本でもあると思ったのでした。話の趣旨からいえば、「悩みの開示は大事だよね」みたいにまとめるのも違うので短く書きづらいよね。ここに書いたこともこれだけ読むとすげえふつうの話だよな。いや実際すげえふつうの話でしかないしそれでいいのかもしれないが。


LLMまわりでみんなやってるプロンプトエンジニアリングみたいなの、なんか本末転倒というか、生成されるものの傾向を操作するために自然言語(っぽいもの)で指定するのってすげえヘンな感じするよね。しない? 指示するような言葉の使い方をしつつ、傾向を操作するだけみたいなのがなんか気持ち悪い感じがするのかな。まあでも、言葉の使い方が変わってくるみたいな話なのかもしれない。あるいは、言葉ってもとからそんな側面もあったでしょ、という話もあるかもしれない。


The Poetics of Science Fictionについてはまた読むのが止まってる。おもしろくないわけじゃなく、いまの章でちょうど可能世界だなんだみたいな話が出てきたので積んだままだったそのへんの本2を崩したりとか、認知言語学と談話分析の絡みの話が出てきたのでそのへんの本を探してみたり3とか、もちろん紹介されている作品を読んでみたり(ものによっては再読してみたり)とか、そういう寄り道をしている感じ。急いで読まなきゃいけない理由もないわけで、こういう寄り道もわりと醍醐味なところはあるのではないでしょうか。


  1. アルファベットについては以前なぜかQiitaに書いている(なんだこの文体)。モディファイアキーについては話すと長くなるんだけど、両小指の長押しにOpt、両薬指の長押しにCmd、両人差し指の長押しにCtrl、左中指の長押しにレイヤ切り替え(このレイヤの右手側にカーソルキーやESC、BackSpaceとかを押し込んでる)みたいにしていた。あとは親指にSpace(長押しでShift)、Enter(長押しでShift)、英数(長押しで記号・数字レイヤ)、かな(長押しで記号・数字レイヤ)、Ctrl+Tab、Cmd+Wあたりを割り振ったりとか。
  2. とはいえ別に本のなかで(形式的な)意味論だったり存在論だったりの話に踏み込むわけでもない(完全に余談なんだけど、どうもこういうとき意味論と存在論がくっついちゃってる雰囲気が気持ち悪いんだよな)ので「参考にする」感じでもない。いま持ち運んでいるのは倉田『現代存在論講義2』です。
  3. ちょうど最近話題になっていた 会話にはルールがある──『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - 基本読書 とかも読んでみた(あんまり関係なかったけど)。ちなみにこの本のなかで「日常会話は言語学の分野では注目されてこなかった」的なことがでかでかと言われてたんだけど、どうなんだろう。本書でも大きく採り上げられるサックスのターンテイキングの話とかは(たしかに一義的には社会学の範疇なのかもしれないんだけど)言語学内でも古典の扱いみたいな認識だった。このへん、宇佐美「談話研究と言語教育:1960年代から現在までの流れ」 とか見るかぎりわりとあいまいっぽくもあるが。あと、いるかなと思ったグライスについては明示的に名前が出てこなかった(参考文献には挙がってた。まあこれも言語学じゃないか)。Poetics...の内容に関しては 日本語のディスコースと意味 概念化とフレームの意味論|くろしお出版WEBあたりが近そうにも見えるんだよな。まあよくわからんが……。