HDD中の音楽ファイルをランダム再生して、最初にかかったその曲の入ったアルバムを評してみようという企画。レビューが書けそうにないものが出てきたときにはなかったことにしてます。
というわけで今日はマヘルの「今日のブルース」。
マヘル、などと軽々しく呼んでみたはいいけれど、僕自身はあまり良く知っているとは言いがたいバンドだったりします。*1これはつまりマヘル周辺事情には弱いし実際にライブ見に行ったこともないから適当なこと言ってごめんなさいね、というエクスキューズというかただの根性なしであることを披露しているだけなのです。ごめんなさい。
それだのにどうして君はそんなよくわからないもののレビューを書くんだい?と言われてしまうのは目に見えてはいるのですが、これにはもちろんれっきとした、そしてしごく単純な理由があるのです。
好きなんですよ。
とりとめもない小品が次々流れていくけれど、そこにはこれといった展開や構成なんてありません。テクニックがあるわけじゃなし、アンサンブルがあるわけじゃなし、リズムやらノリがどうのなんてものがあるわけでもない。
あるのは、ちょっとした感情。すぐに揮発してしまう寂しさや、ふとしたことで忘れてしまうようなおかしみだけ。何も考えていないってことと似て非なるもの。音楽というものからははある種最も遠いところにあると言えるはずの日常性。*2
それを引き立たせているのは一種の「ズレ」なんだろうな、と僕は考えます。
例えばセロニアス・モンクのピアノの持つ独特の「ズレ」感じる魅力と同じ。ともすればシリアスになりすぎたり、反対に単純な素朴さに還元されてしまうその「ズレ」が、ここではなんだかすごく魅力的に聴こえてくる。
それこそが「日常」ということの意味なのです。
そして、それだからあんまり他の作品に立ち入ろうとしないのだよ、という嘘。