開放性と具体性

最近もろもろで気になっていたことについてまとめ……られないので、書きながら考えます。わかりやすい入り口としては 「Just for Fun」から遠く離れて になるのでしょうが、これだけだと今回考えたい方向性からはちょっとずれるので、そこで参照されているも…

地図と……

遊星歯車機関のnoteに「In Other Watersにおける地図と領土:「ミニマップはクソ」は本当なのか?」という記事を書きました。 note.com 『Citizen Sleeper』でも有名なJump Over the Ageの過去作『In Other Waters』を題材に、ビデオゲームにおける空間の表…

『神とゴーレム株式会社』(その2)

承前: murashit.hateblo.jp 今回は機械の自己複製を扱った第3節と第4節。(時代からしてそうなるのは自然ではあるとはいえ)電気回路っぽい話をゴリゴリ展開していてぎょっとしてしまうかもしれません。たぶん今だったらもっとソフトウェア寄りのアナロジー…

『神とゴーレム株式会社』(その1)

こんなアイコンですし、そもそも現代から読んでわりとおもしろい気がしたので、ウィーナーの God and Golem, Inc. を訳してみることにしました。とはいえ、小著といってもそれなりの長さはあるため、まずは「はじめに」および第1節、第2節のみです。 詳しい…

インタラクティブフィクションにおける自己定位

読んだ。 Paal Fjeldvig Antonsen. 2020. “Self-Location in Interactive Fiction.” The British Journal of Aesthetics. https://doi.org/10.1093/aesthj/ayaa037 けっこう啓発的というか、思うところがあったのでメモっておきたい。たぶん論文を読んでない…

芸術をカテゴライズすることについて - 銭清弘

芸術をカテゴライズすることについて 批評とジャンルの哲学作者:銭清弘慶應義塾大学出版会Amazon とりあえず目次は下記。 第1章:批評とは鑑賞のガイドである 第2章:鑑賞とは単なる好き嫌いではない 第3章:鑑賞とは卓越性の測定である 第4章:鑑賞はカテゴ…

はてなダイアリーの先輩について

それなりに擦れてきたつもりではいたけれど、はてなダイアリー時代からの付き合いがあり、いまだに年に数度はやりとりのあった同年代の友人の訃報となると、さすがにこたえるものがある。id:Geheimagentの話です。いまどきIDコールという時代でもないけれど…

ロールプレイについてしつこくも

ポケモンレジェンズゼットエー(デウロがかわいい)(メガシャンデラが好き)をやっているさなかではありますが、遊星歯車機関のnoteに「捜査が『わたし』をつくりかえる:Disco Elysiumにおけるプレイスタイルとナラティブ」という記事を書きました。 note.…

ずいずい随筆

告知だ! 来たる11月23日(日)に開催される文学フリマ東京41に、ねじれ双角錐群の新刊が出ます。ブースは南1-2ホール、O-09。 今回は「季刊」という扱い。初の季刊。初の季刊ってなんか変だな。「エッセイについての小説」と銘打った特集の前後に小説とエッ…

乱数の詩学

「ビデオゲームの異常な乱数、または私は如何にして心配するのを止めて歪んだダイスを愛するようになったか」という記事を書きました。 note.com 『実験する小説たち』のゲーム版をというかもリバーさんの企画に乗らせてもろて、そのプロトタイプとしてのWeb…

2025-08-05

また20年後くらいに、アポカリプスホテルをみんなで観たいね

クリティカル・ワード ゲームスタディーズ(第2部・第3部)についてのメモ

承前。 murashit.hateblo.jp 引き続き第2部と第3部について。 第2部:キーワード編 第2部はトピックごとの数ページでの解説。どうしても気になったのは、五十音順にフラットに並んでいるだけの構成であること。もちろん、各キーワードを(数ページというかな…

クリティカル・ワード ゲームスタディーズ(第1部)についてのメモ

いままさに読んでいるところ。全体としては「理論編」「キーワード編」「ブックガイド編」の3部構成。ここではとりあえず最初の「理論編」を読みながら思ったことなどをメモしておく。 クリティカル・ワード ゲームスタディーズ 遊びから文化と社会を考える…

きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする - ジャミル・ジャン・コチャイ(矢倉喬士訳)

You're your own man. I'm Big Boss, and you are too... No... He's the two of us. Together. ようやく本題にとりかかることにしました。前から言ってるとおりコチャイ「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」そのものの話を(ようや…

物語に「外」などない - 大岩雄典

「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」について考えたいと思っていて、そのための準備シリーズ第2弾1。今回は以下の論文について。 大岩 雄典. 2020. “物語に「外」などない:ヴィデオゲームの不自然な物語論.” LOOP映像メディア学 1…

わたしとそのアバター - M. Carlson & L. Taylor

さいきん「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」について考えたいと思っていて、そのための準備として、以下の論文について。 Carlson, Matthew, and Logan Taylor. 2019. “Me and My Avatar: Player-Character as Fictional Proxy.” …

雨でなくとも地を固む

告知だ! 例年どおり……というわけでは実はなく、前回は書けなくて、かついつもは秋の文フリだったのが半年持ち越して春になったわけですが、今週末5月11日に迫った文学フリマ東京401、A-61(南1-2ホール)にて、ねじれ双角錐群の第9小説誌が出ます。 タイト…

ゲーム音楽はどこから来たのか - 田中 “hally” 治久

読んだ。 ゲーム音楽はどこから来たのか――ゲームサウンドの歴史と構造 (ele-king books) (ele-king books, エレキングブックス)作者:田中 “hally” 治久PヴァインAmazon 現代のビデオゲームにサウンドがともなうのは当たり前のことのようにおもえる。けれど、…

アカデミックな資源を活かしつつものを考えることについて

以下を読みつつ改めて感じた、「趣味として、アカデミックな資源、とくに論文としてものされたそれらをある程度活かしつつ(すくなくとも活かそうとしつつ)ものを考える」ことに際するさいきんの悩みについて書きます。 哲学の論文をタダで読もう:趣味とし…

セーブメカニクスの8分類

以下を読んでた。 Geerts, F.L. (2017). Saving the Game is Shaping the Game: Defining and Understanding the Save Mechanic [Master's Thesis, Utrecht University]. UU Theses Repository. https://studenttheses.uu.nl/handle/20.500.12932/26038 著者…

『絵画の哲学』、あるいは描写の哲学の門前

清塚『絵画の哲学:絵とは何か、絵を見る経験とは何なのか』読んだ。 絵画の哲学: 絵とは何か、絵を見る経験とは何なのか作者:清塚 邦彦勁草書房Amazon いわゆる「描写の哲学」における描写の本性、すなわち「絵や写真、動画などにおいて、なにかが描かれて…

Re: 奇想の在処――〈奇想〉とは何か? 試論

くじらいさんの以下の記事を読んで考えたことを書きます。 hanfpen.hatenablog.com いきなりですが、本記事では以下を前提とします。まあまあ強めの仮定ではあるけれど、いったん飲み込んでください。 フィクション作品を鑑賞しているとき、われわれはそこか…

セザンヌの犬 - 古谷利裕

『セザンヌの犬』についてなにか書いておきたいと思っていて、とはいえ(いつもどおり)どうもまとまらないので、とりとめなく置いておく。 セザンヌの犬 (いぬのせなか座叢書, 7)作者:古谷利裕いぬのせなか座Amazon (そのほかの認めかたもあろうが、すくな…

『環境を批評する』と『東京ヴァナキュラー』と、あと自分語り

直近では『逆コーラップス』をやっています1。……ということとはまったく関係がなく、今日は最近読んだ本の話をする。青田『環境を批評する』とサンド『東京ヴァナキュラー』について。 環境を批評する: 英米系環境美学の展開作者:青田麻未春風社Amazon 『環…

ビデオゲームのストーリーは非整合的なのか - 倉根啓

ずっとエルデンリングのDLCをやっていて、ようやく飽き、ほかのことをする気になってきました。ほかのことをするなかで、エルデンリングをやっていたせいで見逃していた『REPLAYING JAPAN』Vol.6の倉根「ビデオゲームのストーリーは非整合的なのか」がおもし…

第五の御使ラッパを吹きしに

そうだな、たしかにあいつは、おれと同じ褪せ人だった。エビが好きなやつに悪人はいねえ。おれはそう思ってる……思ってはいるが、やっぱりものごとには例外ってものがあるんだろうな。……いや……そうだな、悪いやつだというのも違うかもしれねえ。けどやっぱり…

留年百合小説アンソロジー:ダブリナーズ - ストレンジ・フィクションズ

告知だ! ストフィク増刊留年百合アンソロジーにお話を載せてもらいました。今週末(5月19日)に迫った文学フリマ東京38【き-55】またはBoothでの通販にて(といっても通販のほうは第一次予約分が完売しているのですが)。幌田先生による装画もいいし以下で…

Re: ゲームの「不便さが楽しい」を考える

以下の記事がおもしろかったので、乗っかって考えようとおもいました。「便利状態」との比較で「不便」が出てくるってアイデアはたしかにすぎるんだよな。 ゲームの「不便さが楽しい」を考える - ビデオゲームとイリンクスのほとり 読みましたか? 読んだね…

ゲームと「できること」の芸術 - C. Thi Nguyen

以前読んでおもしろかったグエンのべつの論文“Games and the Art of Agency”を読んだ1。Games: Agency as Artのもとになったもの。以下に内容をメモっておく(いつもどおり内容は保証しない)。 著者のグエンについては、たとえば下記で紹介されている。とい…

2024-04-01

『マンゴー通り、ときどきさよなら』を読んだ。きっかけはこちらで紹介されている(いつも本や漫画の紹介がおもしろそうなんだよな)のを見たからで、前半あたりは「ほーん、移民が集まる街のようすを活写したやつっスね。はいはい」みたいなナメた態度でい…