「鏖戦」ひとり読書会にむけて(1〜2)

まずは順なりに読んでってあとからまとめることにしようかな。付番は以下に準ずる。

murashit.hateblo.jp

なお、先を読んではじめて判明することについては、基本的には「わからない」ものとする……つもりなんだけど、ゆうても読んじゃってるわけで、かなりバイアスがかかっているともおもう。

1. p.7:漢王朝の時代……

  • いかにもエピグラフっぽく掲載されている(実際このあとのみ2行アキになっている)。この時点では(引用元が示されていないことを訝しみながらも)ひとまずエピグラフのようなものとして解するしかない
  • 内容としては、漢の歴史書における当代にかんする記述について、当代の皇帝が崩御するまで読まれたり変えられたりすることが許されなかった、そのおかげで歴史が残ってきたのだ、みたいな話
  • 歴史を書きのこす際の独立性の重要さが強調されている
  • 実際そうだったか、少なくともそういう伝説があるのかといったことについて自分はぜんぜん知らないんだけど、ここで嘘をつく必要もないだろうし、そのような伝説が実際にあるんだろうな……

2. p.7:人類はそれを〈メドゥーサ〉と呼んだ。……

  • プルーフラックス視点の三人称。心情も語られる

  • 初手から「人類は」なので、なるほど人類の話なんだねと思う
  • 原始星群(メドゥーサ)にかんしての、プルーフラックスの想起にもとづく描写(当然のごとくかっこいい描写であるが、あとあと考えると視覚はどうなってるんだというのが気にはなる)。プルーフラックスは「人類」ないしその言葉を使うようなキャラクターであるらしい
  • 原始星群=子宮=母という連想がはたらいており、かつそこに禍々しい印象が付与されている。このあたりはプルーフラックスの主観がわりと強く出てきているようにみえる
  • 「領有権未定の領域」とはいかにもきなくさい! 誰かと誰か(片方はこの「人類」なんだろうな)が争ってるのだろう
  • プルーフラックスは「母というものを知らない」かつ「仮象のなかでなら見たことがあった」。仮象ってのはなんかVRみたいなもんだろうか。知らないってのは「直接には」知らないってことだろうか? いまいちわからない
  • 場所は混淆【メランジー】と呼ばれる巡航艦とのこと
  • プルーフラックスは「五歳」らしい。「1年」をどうとらえればよいのかわからないが、冒頭部分でも「パーセク」が出てきたとおり、単位を疑うのは不合理に思える。どうやらわれわれの知っている「人類」とはかなりちがうようだ
  • 生まれて1年で教練がはじまり、そのうち戦闘に投入されるとのこと。そのために生産されている感が出ている。クラスメイトが何人もいること、講士の存在等々からかなりシステマチックに行われていることがわかる
  • 敵(おそらくメドゥーサの領有権を争っている相手)は「セネクシ」。その船は種子船【シードシップ】と呼ばれており、(敵を倒しつつ?)その奥に蔵識嚢【ブルード・マインド】見つけるのがプルーフラックスらの目的
  • 教練は没入【ノウ】と講技【テル】からなり、眠るときにも訓練(戦闘のシミュレーション)が行われる。講技の際集中してないとふつうに怒られるらしいぞ
  • 以上がプルーフラックスの心のうちの話(2.5ページくらいのうち1ページ弱)。ここから具体的なアクションが起こる

  • 場面としては講義の最中らしく、あっさりと「円形の階段教室」とされる。マジでふつうだ!
  • クラスメイトの「ひと悶着」を待ち構える様子からは、以前にもなにかあったこと、プルーフラックスがやや問題児? であることなどを察せなくもないか。このあとの教師がタイプみたいな話といい、急に卑近になるのおもしろい
  • その後のプルーフラックスと講士との会話はおおむねセネクシの説明(別途まとめる)
  • プルーフラックスの身長は3メートルほど。「すでに」というようにやや成長が早いのだろうか。先のプルーフラックスの性格の示唆とあわせて、多少特殊(主人公っぽい!)なんだろうなと思われる
  • 覚醒相がある。ということは眠るような「相」もあるのだろう。上述の睡眠中の訓練はこの期間中に行われるんだろうな。形態の違いからみてもわれわれの睡眠とはけっこう違いそうだが詳しいことはよくわからない
  • プルーフラックスは「妖精態」。具体的な容姿はわからないが1、手足は細長く、「肉」がついている。破摧籠手【グラヴ】(爪みたいなやつなんやろな)を装着できるように手に手術を受けている
  • 講士は講士で「講士形態」があるらしい。頭は横に広いハンマーヘッド型。「妖精態」がそのような容姿であるとは(ひとまずは)考えづらいため、形態の多様性は広いとするのが自然か
  • 「講士形態を魅力的と思う女もいなくはないが」!教師がタイプな奴もいるって話だ。ここ笑いどころだよな……
  • ともあれ、どうやら性別があるらしいこと、プルーフラックス自身は「女性」であるらしいことがなんとなくわかる
  • 「破摧【ザップ】する」でにっとほほえむプルーフラックス。ちょっと前のほうでまんま擬音語として「バン【ザップ】、バン【ザップ】」というのが出てきていたのとつながる。幼児的(少年兵的?)なイメージ
  • はじめての質問にもかかわらず、プルーフラックスは即座に回答している。読者としては違和感を覚えるべきところか
  • 社会階層のようなものがあるらしい。上位者は「オーバー」と呼ばれており、彼ら(のうち、とくに最高位の上位者)のために蔵識嚢を持ち帰れということになっている
  • 上位者の目的は不明だが、プルーフラックスはそのことに疑問を覚えない。社会構造がかなり固定化されているか、そのような処置がとられているものとおもわれる
  • 「心の散策といってよね、とプルーフラックスは思った」。ゴリゴリに役割語
  • ここまででもとろこどころで示唆されていたが、形態の異様さに比べてかなり卑近な雰囲気。あくまで「人類」の延長ということだろうか
  • 5歳から6歳くらいで「けっこうな歳」、3歳でセネクシを見る(ということは、戦闘に参加する)者もいるらしい。2年程度の教練でいちおうものになるようだ
  • 最後の「バン【ザップ】、バン【ザップ】」で念押し。「楽しみ」にしていることがわかる。そのように作られたこと(本能的にそれを楽しみにしているのだろうということ)が示唆されているといってよいか

セネクシについて:

  • 「胞族」という社会的(?)単位があり、胞族ごとに「蔵識嚢」をもつ
  • 胞族は5体の「分岐識胞【ブランチ・マインド】」からなる
  • 蔵識嚢には嚢漿が、嚢漿には情報(仮象など)が収められている。「情報」が抽象的対象なので字義通りにはとりづらいが、まあ脳みたいなもんやろなとは想像できる
  • 破摧の対象は嚢漿(に収められている同系胞の遺伝情報)。蔵識嚢は「最高上位者【オーバー】」のために持ち帰られる
  • 正直ここだけだと「なんかぜんぜん違う生命体なんだな」ということしかわからないところ

冒頭の設定紹介部分でもあるので情報が多いのだが、ポイントとしては:

  • 遠い未来、遠い星での話だよ
  • プルーフラックスたちはポストヒューマンで、システマチックに生産・管理されているよ
  • 形態や生態の異様さに比べると、(すくなくともプルーフラックスたちの周囲をみれば)その心理などはある程度われわれに近いよ
  • それでも「破摧」への心持ちなど、(その再生産システムや社会構造からくるのか)異様なところもあるよ
  • 敵のセネクシはそうした人類よりもっともっと理解しがたい生命体だよ
  • 人類とセネクシが争っているよ

……ってあたりになるだろうか。


っていうか、まじでこのペースでやるの!?(とはいえ小説読むのって馴染むまではゆっくりにはなるものだし心配するほどではないだろうか)


  1. とはいえ自分のなかではかってにポケモンフェローチェみたいなイメージになっています。まあ肉は付いてないが……。