2022-01-01から1年間の記事一覧

すずめの戸締まり

ねじれ双角錐群アドベントカレンダー8日目の記事です。ね群といえば、先日の文フリで頒布したね群の最新刊『故障かなと思ったら』もBoothにて通販中。アドカレともどもよろしくね! というわけで、今日は『すずめの戸締まり』についてのメモを載せることにし…

文学フリマのSF島その他の告知

『The Poetics of Science Fiction』を読むプロジェクトはタクティクスオウガのリメイクが出たことで完全に停止していますが、それはともかくとして告知になります。 11月20日開催の文学フリマ東京35にて、例年どおり ねじれ双角錐群 の同人誌が出ます。例年…

『The Poetics of Science Fiction』第3章のメモ

2週間で1章くらいのペースで……とか言ってたんだけど、この章はかなりおもしろくて深みにハマってしまった。もうちょっとペース落としたいです。 承前: murashit.hateblo.jp 第3章のざっくりまとめ: 本章の目的 SFにおける「言語学」「言語」への意識や実際…

『The Poetics of Science Fiction』前置き+第2章のメモ

書名はいわば『SFの詩学』ということで、「認知詩学の観点からSFについて分析していきましょうね」という本書について、今後しばらくメモを書き連ねていきたいと考えています。 そもそも「SFの認知詩学:ピーター・ストックウェル『SFの詩学』The poetics of…

Disco Elysium: The Final Cut(またはロールプレイの諸相)

権威: 5 非常に高い 97% +1 キムに信頼されている。 +2 キムに完全に信頼されている。 これはレッド・スキルチェックだ。再挑戦はできない。 store.steampowered.com 「ロールプレイ」についてどうしても考えてしまうビデオゲームであったため、それについて…

Interior Chinatown - Charles Yu

きっかけは、千葉集さんが最近やっている短編まとめです。 Charles Yu, "Problems for Self Study"(2002) - 短篇企鵝 このProblems for Self Studyを読んで、おもろいやんけと思ったんですよね。たんに形式だけみれば(少なくとも今となっては)そこまで新…

「新しい世界」のまわりをぐるぐるする

なんとなく気後れしていたのですが、いやでも、ブログなんて好きに書けってことで、表題の件について思い付くことを書き散らしておきます。日記ですね。 というわけで、以前『紙魚はまだ死なない』に寄稿した「点対」を、伴名練編『新しい世界を生きるための…

『フィクションとは何か』- ケンダル・ウォルトン(中間まとめ)

第2部までをまとめてみよう、というエントリ。前半だけでも二段組300ページあってそれなりに分厚いのは、ウォルトンの理論自体が思ったより複雑なのもあるが、それよりもとにかく例示が豊富なことが原因のように思いました。それらを読むのはとても楽しいも…

『フィクションとは何か』第7章のメモ

第7章 心理的な参加 承前: murashit.hateblo.jp 第5章で触れたフィクションのパラドックスを端緒に、ごっこ遊びへの参加者が演じる心理的な役割について見ていく。 実質的な本論となる第1部〜第2部の最後の章であることもあるのか、「これまでの話からこん…

『フィクションとは何か』第6章のメモ

第6章 参加すること 承前: murashit.hateblo.jp ごっこ遊び(的なゲーム)において、われわれはどのように参加しているだろうか、という話。さまざまな制約の話と、あとメタフィクションの説明あたりが読みどころだと思う。 子どもたちの遊びへの参加 まず…

『フィクションとは何か』第5章のメモ

第5章 謎と問題点 承前: murashit.hateblo.jp ここから第2部。「虚構世界(の登場人物)」と「現実世界(の鑑賞者)」の間でどのような関係が成り立っているのかについて、ひいては、鑑賞上の基本的な姿勢について考察する。これが次章以降で考察・解決して…

『フィクションとは何か』第4章のメモ

第4章 生成の機構 承前: murashit.hateblo.jp 例が豊富でおもしろいんだけど、というか豊富だからこそ、結論としては「一筋縄ではいかんよね」くらいのことしか言ってない章とも言える。 生成の原理 小道具とともに虚構的真理を生み出す生成の原理について…

『フィクションとは何か』第3章のメモ

第3章 表象の対象 承前: murashit.hateblo.jp ※今回も実際の節構成とは異なるまとめ方をしていることに注意(なので、節見出しも同じではない)。流れとしては同じ。また、本章はこれまでに増してまとめ方に自信がないです……。 表象の対象 第1章で出てきた…

『フィクションとは何か』第2章のメモ

第2章 フィクションとノンフィクション 承前: murashit.hateblo.jp ※今回も実際の節構成とは異なるまとめ方をしていることに注意(なので、節見出しも同じではない)。流れとしては同じ。 2022/05/02追記:本章の内容については、清塚『フィクションの哲学…

『フィクションとは何か』序章および第1章のメモ

いつもは読書メモをとっても外には出さないんですが、ずっと出さないでいるとおかしな誤解をしていても誰にも指摘されないままずんずん進んでいってしまいそうだし、今回はせっかく丁寧に読んでいるということで、ひとまず出すだけ出してみる形で(今後もこ…

SS将校のアームチェア - ダニエル・リー

このブログは、自分がなにか本を読んでおもしろいなと思ったとき、なぜおもしろかったかについて考えるブログです。で、今回はこれ。 以下はみすず書房のサイトより。 古いアームチェアを修理に出したところ、中から書類の束が見つかった。鉤十字の印があり…