コロンブスといえば、難多き大西洋の航海*1の末新大陸にたどりついた偉い船長さんなわけです。
しかし現地人からしてみりゃ、いきなりやってきてこの土地は俺のもんだからお前たちは俺の言う事聞きやがれなどと言い出す迷惑千万なおっさん以上の何者でもありません。*2。そんなおっさんが腹が減ったから何か食いもんよこせなんて言ってもそんなもん誰がやるかって話です。おれはおまえのパパじゃない。ニートじゃねえんだから自分で足を動かし手を動かせ、と。
んなこと言われたっておっさんだって腹が減る。気が立ってる船員たちに十分に行き渡るような食料を、こんなどこだかわからんような土地で探せといわれても無理なわけだ。
しかしおっさんだって伊達に新大陸を発見したわけじゃありません。おっさん考えました。すごくすごく考えました。めっちゃ考えました*3。
そしてそこで思い出したのが、おお、明日はちょうど皆既月食がある日じゃあないか、ということ。これを使ってインディアンたちをちょっとばかり脅かしてやろうと思ったのです。
- おっさん
- 「おいおい君キミ、早く僕らの食べ物を持ってきてくれんかね?」
- インディアンA
- 「何言ってんだこのオヤジ。寝言は寝て言えって昔の偉い人も言ってんだろ。・・・ったく・・・誰がお前なんかに・・・」
- おっさん
- 「ほう、この僕にそんなこと言っちゃっていいのかな?どうなっても知りませんよ?」
- インディアンB
- 「おいおい。そんなハッタリかましてる暇があったら自分で食いもん探せよ。お前みたいなのがいると迷惑なんだよ、わかる?」
- おっさん
- 「ぬふふ、いいでしょう。そこまで言うのなら証拠を見せてあげましょう。私は月の色を変える事だって、月を消す事だってできるんですよ・・・!」
- インディアンC
- 「はいはいさいですか。せいぜいがんばってみてくださいな。」
そうしてインディアンたちはコロンブスの前を去っていきました。
・・・するとその晩のことです。
夕方に昇った月が、夜が更けていくに連れてどんどんと欠けていくではありませんか。
驚いたのはインディアンたちです。まさか本当に月が欠けるだなんて誰一人思っていなかったのですから。
- インディアン長老
- 「ちょ、ちょ、ちょ、あんた!これもしかしてあなたの仕業なんですか!?」
- おっさん
- 「そうですよ。あなたたちがいつまで経っても僕の言うことを信じてくれないものだからね・・・」
- インディアン長老
- 「な、な、な、なんてことを!そ、それだけは勘弁してください!わかりましたから!いやほんと、何でもしますから!」
- おっさん
- 「んじゃ、食料くれる?」
- インディアン長老
- 「も、もちろんですとも!」
- おっさん
- 「これからずっと、だよ?」
- インディアン長老
- 「喜んで差し上げますとも!だから、はやく元に戻してくださいよ!」
めでたしめでたし。
という感じの話を、中学校の地理教師であったT先生が話してくれたのを思い出します。あんまりめでたくないだろこれ。
本当の話かどうかも怪しいもんですが*4、ともかく僕にとって、キスといえばレモン味、月食といえば、コロンブスなのです。