こわれかけの散文詩*1がアスファルトの上にころがっていた。深夜のコンビニからの帰り道、街灯のあかりが影をつくったその境界線のあたりに、僕はそれ*2を見つけた。おびえた表情をして、アスファルトの上にころがっていた。
僕がちかづいてゆくと、僕の影もうごく。僕がちかづいてゆくと、それ*3が反射する光もちらつく。しゃがんで、両手ですくうように手に取ってみる。ほんのりと温かく、秋の夜の肌寒さにあらためて気づかされる。
トラックが通り過ぎる。ヘッドライトをぎらつかせ、大音声をびりびりとひびかせながら。
そして僕がもういちど手のひらに目をうつしたときにはもう、それ*4は、くずおれ、指のあいだからこぼれ落ちようとしていたのだった。
僕の手には、ちいさなちいさなことばだけが残った。