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今年読んだ本(無理矢理)まとめ

うさんくさげなものは一日にまとめてしまうに限ります。


今年読んだ本てのをいろいろ思い出してみるのだけれど、まず大きかったのは一昨年の年末から読み始めていた「ユリシーズ」を4月になってようやく読み終えたことでしょうか。ひとつの本をこんなに長い時間かけて読むのは紛れもなく初めての経験だったのですが、達成感ばかり大きくてどれほど身になったものかはちょっと自信がないというか。まだまだこれから、聖書を読んだりホメロスの叙事詩を読んだりシェイクスピアの戯曲を読んだりあれしたりこれしたりするたびごとに向き合うことになるんだろうなという気はします。もしかすると、これ以上読みにくい本はもうたぶんないんじゃないか、あとはこれよりも読みやすい本しか残されていないんじゃないかという自信がついたことが最大の成果であったりするのかもしれません。この列に並べるとすれば、埴谷雄高の「死霊」やムージルの「特性のない男」あたりなのでしょうが、このへんいつ挑戦するかは未定であります。

もう一つの大きな流れ(にするつもりだったもの)としては、これもやはり昨年末にやはり1年近くかかって読み終えたフォークナーの「アブサロム、アブサロム!」をはじめとする血と地にまつわる小説です。それまでの大江・中上ラインからかなり興味はあったこのあたりの小説をちゃんと読んでみる試みの第一段階としてのフォークナーでしたが、結局ガルシア=マルケスくらいしか読めませんでした。来年はぼんやり先生のこのエントリを参考にしつつ、どうにかこうにか読み進めていけたらと思っています。

そんなわけでけっきょく長編としてそれなりに根を詰めて向き合ったのは「ガラス玉演戯」「南回帰線」「ロリータ」「黒い時計の旅」「文学部唯野教授」といったところ。「ソラリス」もこの中に入れてもいいか。それでも、今までの人生の中でいちばんたくさんの長編を読んだ年なんじゃないかと思うんです。母さん、がんばったよ僕。


でもって今年なにより自分の興味をひいたのはアメリカにまつわるいろいろだった気がします。フォークナーやミラーなどはもちろんそうだし、ブローティガンの「芝生の復讐」が新潮文庫でようやく出てくれたこと、ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」があんまりおもしろすぎたことなど、そういった小説たちがたしかにまずあるのですが、それ以上に今年の後半には小説以外のところで、都市と異質なものへの憧憬、その現代的な中心としてのアメリカへの興味を自分の中で再発見したことが、読書のおもしろさを格段に高めてくれました。

おそらくきっかけになったのは「悲しき熱帯」で、それ自体はアメリカ(国としてのアメリカ合衆国)は関係ないんですが、それと関連して「錯乱のニューヨーク」を再読したことがアメリカの文化とその影響について考えさせられるきっかけになったのだと思います。ベトナムに何度か行くことになり、そのせいもあって「ジャングル・クルーズにうってつけの日」をあまりにもおもしろく読んでしまえたことは非常に幸福な体験でした。今は「オリエンタリズム」を読んでいるのですが、これもやはりその連関においてです(それにしてもこの本すげえおもしろい)。


あ、あと、あれだ、「AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜」はマジおすすめ。こういうエントリマジ気持ち悪いぜ。